02/10/*20 これもタブチくん

タブチさんがいなくなって、初めての川上村。快晴の三日間。
名残惜しくて仕方がなくて整理していたら出てきたタブチくん作の詩。
2011/03/11の震災後の動揺がまだ世の中を包んでしまっている時期に展示会のDM用にと書いてくれた一文。


The Sound of Silence

三月に聴くコガラの舌足らずな囀り
アカゲラのドラミング
夏に追われた春が 高山に逃げ込んでいく足音
春蝉の大合唱の念仏
寒山六月岩魚釣り 緑に染まる川の瀬音
高山の雪田から溶けて流れる水音
寝袋に顔を埋めて眠る きみの寝息
霧はやがて雨に変わり テントのフライシート打つ雨音
キャンプストーブの燃焼音
キョロン キョロン......夏の夕暮れに歌うアカハラのトレモロ
森の焚き火の熾き火がはぜる音
湖水を渡っていくカヌー旅行の 眠気を誘うパドリングの水音
スティールヘッドをフィッシュオン瞬間のフライリールの悲鳴 
山萩の花に集まる蜜蜂の羽音
秋の岩壁に木霊するクライマーの掛け声
落石の乾いた音 
紅葉する山里の夕暮れに聞く鹿の鳴き声
枯葉踏む足音
小春日和の日溜まりで 独り薪を割る音
薪ストーブの上で滾る湯音
ハバロスク西北の風 風力2......独り耳傾けている気象通報
雪原に張ったテントの中で聴いている雷鳥の地鳴き
ブリザード走らせる風の口笛
壊れやすい自尊心が壊れていくときの音

2011/04/13  田渕義雄


田渕さ〜ん、お〜ぃ。(寂)


この詩は自由を愛する人は転載自由
でも、できれば壊さずに。

(小林)

 

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