到着して見渡すと、伐採をお願いしたカラマツがデッキの後方の斜面で大きな丸い断面を見せている
以前、根っこを傷つけてしまったせいで、倒れて来るとデッキ直撃の場所に生えてるカラマツ4本とアカマツ2本が伐採作業の途中。しかし、立っていたカラマツが横になると矢鱈とデカく見える、計ったら20m以上あったらしい。地元の人には3年分燃やせると言われたけど、薪にして燃やしてしまうんでは無く、なんとか今回はチェーンソウを使って板にしてみたい。たった5年だけど標高1500mの強烈な紫外線を浴び続け、すでに枯れたグレーな色になっているデッキ材、そろそろ補修材の事も考えなきゃと思っていたので倒したカラマツに寄せる期待大。
この村産の間伐材で出来てる、このデッキだから補修材もなんとか、この場所で手に入れないと。だけど、製材するにせよ、何にせよ、その前に斜面に横たわる、このデカい樹を解体してデッキまで降ろさなければいけない。どうすればいいかは、樵の人に聞かなきゃ判る訳がない、シロートの経験則の範囲はすでに超えている。
確実にやらないと、凄い重さの丸太がデッキに向かって転がってくる、そしたらデッキは大破.......。なんとか、旨くやらないと と思うけど、どうしていいか判らず、薄ら笑いを浮かべていると地元の知人から電話が入る。
その電話口で彼が言う、ウラヤマの沢に50mの滝があって、それは毎冬完全凍結しているとウチの親父とお袋が口を揃えて言うんだよ.....確認しに行かないか? と。
えっ?50mの滝、それも上から下まで完全凍結!?ツイに来たぞ、山の秘密的なハナシの展開、今回は2人分の証言もあるから手応え充分。そりゃ、確認しない手は無いと2つ返事で応じたプチ探検。
その大滝があると言う場所はウチの犬を捜しに何度か登ったあたり....どの筋の沢だろう、あったかなぁそんな大滝?とにかく、確認だけでも、とクライミング用品はとりあえず置いといてウラヤマ探検へ。沢をすこし登ったところで2筋に分かれるので左の沢へ、強力に絡まるツタを掻き分けながら沢を登ると、あっけなく幻の大滝がその姿を上流に表した。なんだこんな近くに.....。高さはぐっとスケールダウンの、どう見たって8mくらいしかない、やっぱりね。いいの、いいの、山の秘密は時に、その大きさを変えながら僕らの前に姿を現す、今回は小さくなって近場で登場。怖がらずに練習出来る、丁度いい高さだ。
ずーっと陽が当らない細い沢に出来てるから3月のこの時期でも全面凍結!!
下の方までガッチリ凍ってるから色もアイスブルー。ニューヨークの友人に転送してもらった、中古のアイス・スクリューも届いている、ミネソタの売り手からNYC経由、東京から川上村に来て、ツイに氷壁へ 買っといて正解。この日は秘密の存在だけ確認して、それぞれ道具持って翌日に待ち合わせして別れたけど、無情にも山はその夜から雪、そして朝には雨になっていた。
翌日、諦めて山を降りた。
山の秘密はたった10分のウラヤマにあっても、そう簡単には手に入らない...さすが秘密だけある。
(小林)