目黒川の桜はほころび始め、靖国神社の桜も開花して東京は晴れて開花とお墨付きが出た頃、やっと普通に買えるようになったガソリンを補給して3月7日以来の待望の山行き。3週間のTV前生活で弛みきっている体で作業がどの程度できるか予想もつかないけど兎に角出掛けてみよう。
到着してみると、道具小屋の中は棚から大小の箱が床に落ちて中身が散乱していた。ここも揺れたんだね。流しやストーブがある場所は何事もなかったようだ。散乱した道具をちゃっちゃと片付けて、鉈を研いだり、チェーンソウの目立てをしたりして、ちょっと居なかった間の隙間を埋めるような事をやって着いた日の作業は終了。夕方になって道具を仕舞っていると"向こうから雪雲がやってくる"とのカミさんの声で真向かいの山並みをみると、ちょうど雪雲( 歌謡歌番組のドライアイスみたいな)が峰の向こう側から山肌を舐めるように谷越えて向かってくる、暫くするとハラハラと雪が舞い始めた....やはり。
来る途中に八ヶ岳がとても近くに見えた、山が近くに見えるときはそのあと天候は崩れるとスノーシューハイキングの時にベテランの人がそう言っていたのを思い出す。でも、3月に雪ねぇ.....と言っている間にも粉雪がハラハラと降り積もる。
山に来れなかったこの3週間、カミさんの実家がある福島市の状況の推移に心配してばかりだったのでTVニュースやPCの画面で見るTwitterの声の無い山の夜はなんだか妙にナツカしくて3月11日以前の"僕らが以前、居た世界"と此処は今も変わらないようにも思える.........。
薪が燃える音とストーブの上のヤカンが湧いている音に乗せて、辻マコトの本を肴にゆっくりやるつもりが久方ぶりの作業のお陰かゆっくりする間もなく落ちるように寝てしまう。
次の日の明け方、余りに犬が寒そうにしているので寝袋から出て温度計みると-8℃の表示。さむかっただろうな、戸板を開けると一面銀世界。それも軽い粉雪でふわふわキラキラして季節ハズレにもかかわらず見事な景色だ。長靴のつま先でデッキに積もった雪を蹴り上げると昇ったばかりの朝日を受けて光る、銀の粉を蒔いたよう。そしてそれが微風に流される様は目を奪われるが足元の犬は雪景色には心奪われた様子もなく淡々としている。
犬と一緒に散歩に歩き出すけど、サングラス忘れて眩しくて目が開いて居られない。早々に散歩を切り上げて、雪原についた自分と犬の足跡を細く開けた目でたどりながらデッキに帰る。
ウォーミングアップ替わりの雪かきをちょっとだけして朝飯食べて暫くぶりの山仕事にかかる。ナラの樹を一本、切り残していたので片付けてしまおうと取り掛かかるが、たった3週間TV前暮しをしていただけで体はナマっていて作業はまったくはかどらない。チェーンソウ抱えていられる時間も少しなら鉈で倒した樹を解体するにも途中から腕がパンプしてくるまったくなんだか頼りない身体になってる。
やはり作業するなら毎週来てないと,どうにもならないと実感、来週また来る事ができるといい..........。
(小林)