また此処に来て樹を伐っている。
テストするものも無く、やり残した作業も無い......
つまり、ねばならぬ事情もないけど頭から離れない色んな面倒くさい事をちょっとの間だけ考えるのをやめる為に樹を伐る(正確には先日に伐った樹たちの玉伐り)事に没頭する為に来た。つまらない事に気を奪われていた、この数日の考え方に小休止を与えて、違う視点が得られるように。
雪も消えかかり、山も森も長い眠りから、ゆっくりと目覚めのまどろみのような時期の山の中の景色。
先日、伐った白樺の切り株の断面は吸い上げ始めた水でビッショリ。乾いた埃っぽい景色の中で切り株の断面だけ派手に濡れている。地面の中では春祭りの準備が始まっているんだろうと思いながら伐っていると視界の隅の切り株たちが森じゅうで唇濡らして、そうだ、そうだと目にウルサい。
今伐っているこの薪が使えるのは来年の今頃より後になってから。この薪を寝かせている間の暖かい季節に今年は此処でどんな事があって、どんな人たちが来るんだろう...みんなの笑ってる顔とか思い出しながら伐ってる。
2日かけて、たるんで作業を忘れた筋肉に檄を飛ばしながら一山分の玉伐りをヒィヒィ言って終了。集めて積み上げて割るところまでは無理だったけどまぁまぁかな。全身ガタびし言っているけど、今回はこんな作業が心に必要だったから、いいんだ。
山の空気に助けられたよ、ありがとう。
(小林)