05/15/*11 朝7℃ 農業放送

川上村は村役場の有る場所の標高が日本一高いので日本一高い標高の村だと何かで読んだ。そんな村だから標高1500mあたりでも畑がある。険しい山が始まるギリギリの所まで畑がある。年間半分は村人総出で畑をやってるから畑に居ても村の情報が漏らさず聞こえるようにとの計らいで朝6時から、そんな山景色と農業景色が混ざる山あいに農業放送の女性の声が響き渡る.....................。

なにしろ、ここいら一帯は農繁期になると夜明け前から刈り入れが投光器の灯りの中繰り広げられる村だ。なんだか朝まで寝てると悪いような気になるくらい。

そんな村の方から聞こえてくる
「おはよーございます、広報川上です」
で始まる6時からの村リズムにすっかり巻き込まれている.......昼の合図も3時あたりの休みも夕方も広報川上に付きまとわれているといっても過言ではない。どの集落の誰が亡くなったとかゲートボール大会やバードウォッチングの誘いとかで................
この村では申し合わせで香典は1000円にしてるんだなとか、無駄な作業に没頭しながら知った所で無駄な村の話題にも精通してしまう。バードウォッチングは何人くらい参加してるんだろう?とか聞いたばかりに余計な心配までしながら斧で薪を割ってる。

村道の舗装工事で通行止めになる時間帯の案内をこだま混じりに聞きながら、村を囲んでいる近い山肌を見ていると、とても不思議な気分になるけど山にかかってる魔法って、まさかコレ?

そうそう、そんな放送もきこえるけど、この時期ここらはカラマツの芽吹きで辺り一面、森じゅう、山じゅうキミドリ色で輪郭線が見えないスーラの点描みたい。白樺も枝先に若葉のキミドリ色、そして光を透かすほど薄い、もう頭がオカシくなるくらいキラキラした景色。

花だって小梨の樹にスモモの樹にも山桜もゼーンブ咲いてる。その上、鳥たちもキジまでも鳴いてる。犬はそれらの気配と歌声でなんだか凄いテンション。そんな、咲いてる鳴いてる芽吹いてる出鱈目な状態の山、地元の人たちは農作業があるからボーッと山見てる余裕など、この季節あろうはずもないからいいけど春先の山はボーッと眺めていると精神に異常をきたす。そんな世離れした景色見て少しイカれた頭に響くのは

おはよーございます、広報川上です。

(小林)

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