15年前の晴れた日、ウチの玄関前に颯爽と現れたピカピカの車、新車で車を買うのも初めて。当時、バイクを毎日の足にしていたから天気の悪い日だけの乗車で5年経過しても走行距離は確か3万キロほど。買ったはいいけど大して乗っていなかった.......。
しかし買ってから10年が経った頃事態が急変する。
降って湧いたような突然の山回りフィーバーだ。暮しの実験ができそうな山や森を捜して西へ東へ。重点捜索地点だった八ヶ岳周辺にはじまり、新潟や三重県など、そし回り回って遂に川上村に辿り着く。
1997年型のレンジローバーは犬と僕らを乗せて、それまでの10年間の汚名(4輪駆動車として)を晴らすように山や森に出掛け、そしていつも確実に家まで運んで帰って来てくれた。どんな状況だろうと家に帰れる安心感は小心者の自分をオフロードのベテランのような顔にしていたこれも頼もしい四駆の王様のおかげ、顔つきまで変
わるんだ。15年間の修理は数知れず、そのディーラーの2ndレンジローバーの中では歴代2位の修理費ですと余りの故障箇所の多さに文句言ったら、そう答えられた。当時は笑えなかったけど、今はそれもいい思い出。いわゆる"ハズレ"の個体だったような。
15年乗ったイキサツも買い替えの時期を逸してしまったと言えばそれまでだけど、、機械相手でも15年一緒に居ると最初はただの車だったのが、馴染みが出始める。親と住んでたのだって18年間くらい35歳で買って今50歳。40歳台はずーとこの車と行動を共にしていた事になる。
走った距離は16万キロちょっと30万キロ走る人もいるらしいので、やや後ろめたく申し訳ないけどさよならする事になった。最後の山行きとなった今回の川上村からの帰り道ではあそこも行ったよな、あそこも壊れたよなとかハンドル握る手に思いを込めて感傷的なラストドライブ、さいごのお勤めの今回も無事に家に帰って来る事ができた。
なんだか淋しいわ。
(小林)