"ミニ・コアラ"
アルミ精錬で使われるボーキサイト
そのボーキサイトの輸出が外貨獲得の主たる品目だった頃のオーストラリア。ある日、突然とボーキサイトの産出量が激減し始め、政府が外貨獲得の安定的な手段として輸出できる代役を捜すべく、首相以下閣僚たちが集まり話合っていた会議室での話。いい加減アイデアも出尽くした頃、首相はため息まじりに窓際にすわって、フッと外の樹に目をやると。官邸の周囲に植えられているユーカリの樹が首相のすわる窓の外にもあった。会議での近視眼的距離感になれた目が外に植えられたユーカリにゆっくりと焦点が合う。目が合ったのは幹につかまってこちらを向く一匹のコアラ。
その後、まもなくダウンサイズを図ったコアラの生産に多額の国家予算が付き、安定供給を計るべく、研究、実験が繰り返された。そして、遂に安定した種にする事ができた近年、その小さいコアラ達が世界のまず動物園に先行販売された。これも、よくある話で一人の飼育関係者がその"ミニ・コアラ"を持ち出して自宅のアパートで飼い始めたのが事のはじまり。
ある日、そんな彼にオーストラリアの研究所への出張の辞令が下る。1ヶ月ほどの出張だから、あのコアラ達もドッグフードでなんとか持つだろうと考えて出かけたが、出張中も現地のコアラ研究者たちとの会議を繰り返しながらも自室に大量のドッグフードと共に置いてきた"ミニ・コアラ"たちの事が引っかかっていた。
出張中、得られた研究者たちとの意見交流の席上、次のステージである、世界中での一般販売に向けての改良点に繁殖力の低減が必須とされたのが会議の結論と言えば結論
この"ミニ・コアラ"はユーカリの葉でなくても育つ言ってみれば雑食に調整されていた、だから、その彼も持ち出したミニ・コアラたちもドックフードでも何とかなると考えた。会議の席上、開示された資料には様々な開発秘話がレポートされていた、その資料を見渡すと、ダウンサイズを図る為にネズミの亜種との遺伝子操作をしたとの記述があった
成田から自宅のアパートへ帰る
"ミニ・コアラ"たちがどうしているのか気が気でなかったけど、まさか、死んでしまったんじゃぁ......考えてみればコアラがドッグフードで育つのか?取り返しのつかない事をしてしまったと後悔してもあとの祭り。
静かにドアを開けて中を伺った、室内から音はしない。暗い部屋へ少し開けたドアに体と鞄を滑り込ませてドアを閉めた、馴れた位置にある電気のスイッチに手をやると、なにかしっとりとした手触りの暖かくフワッとした何かに触れる。
その何かをどかしてスイッチをつけると明るくなった部屋は床も壁も天井もミニ・コアラたちで一杯。
繁殖力の低減........
部屋一杯のミニ・コアラ
床一杯にじっっとしてるのを静かにどかして、座るスペースを作って座るが、旅の疲れからか、部屋中がベージュのフワフワしたベージュの毛で睡魔を呼んだか、そのまま寝てしまう、暫くすると小さいコアラ達に埋もれて彼の姿も見えなくなった。
くじら、コアラ共に原作は赤城忠治氏 1983年頃
しかし"お山" に行けないと頭の中はろくでも無い事で一杯になって収拾がつかない状態になる。
今週末は Holiday in the Mountainに是非したい。
(小林)