朝、目が覚めてまぶたを開けると部屋の天井の角を見て山のテントではないことを言い聞かせていると同じベットの足元で寝ていた犬がこっちに顔を寄せてくる。白いシーツの向こうから白いケバケバしたのが顔をじりじりと寄せてこちらの顔をナメル機会を伺っている。一瞬、白に白でベットの上じゃ保護色状態なのでヤツがどこから顔を舐めにくるか見失う事もあるが、まぁ目とハナが黒いから見分けがつくからいいけど。東京に居る朝はこういった調子で毎度、始まる。
カミさんの用事で今週も東京に居る。
此処一ヶ月は隔週でしか山に行けてない。
今の時期がとてもキレイで過し易いのに.....。
奥さんいかでしょう?半端な季節も楽しいですよ。
先週からのクローゼットの片付けを仕上げて、午後からはこれまた暫くご無沙汰のバイクのいじりとちょい乗りシャッター付きの駐車場に入れてるからヒドい事にはなってないけど陽の下に出したときはなんだか申し訳がなかった。山に頻繁に行き出して以来、1ヶ月に一回くらいしかバイクに乗らなくなったから、車庫から出す度にとても後ろめたい。
このバイクが手元にやってきてから、もう10年。
はじめの頃は嬉しくって嬉しくって毎日曜日、箱根のターンパイクに朝練に行っては、毎回帰りにどこからかオイル漏れや高速道路上で突然止まってうごかなくなったり、カスタムならではのヤレヤレな状態に突然陥る事もたびたびだった。だから、朝出掛ける時に家を出てからの初めての信号で停車してるときに"やっぱり今日は止めておくか"とか、途中の道端で工具並べて途方に暮れている図とかが頭をよぎる。でも信号が青になるとそんな事をどこかに押し込んで高速道路に乗る。いちいち気がチッサイというか臆病というか.....
道中も同じ....
バックミラーは激しい振動で後方視界ゼロ。
ガッとスロットル開けて行く瞬間も後に覆面(パトカーでもどうせ見えはしない)でもいたらアウトだなとかターンパイクでも下りのコーナー、この以上倒したらコケるだろうなとか、何の事は無い覚醒している間中、ずーっと何かの心配事ばかりしてる...心配事の背中には"これくらい迄なら大丈夫"と踏んだ小さな賭けにでた自分の根拠のない予想だけ。バイクだけじゃなくって仕事も(特に仕事は)毎度毎度小さな賭けが果てしなく続いて本日に至っている。小さな賭けに負ければネジ山潰したり、途中ガス欠になったりして道端に座っているハメになる、これまでの勝敗表は勝ち負け3対7で子供の頃より負け越してる。
山へバイクで行ければ一挙に解決なんだけど犬乗せては走れないからなぁ。
いいカーブは道中、沢山あるのに。
(小林)